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きっかけは、ただ知りたいという探究心だった

きっかけは、ただ知りたいという探究心だった

2018年3月29日

人生のターニングポイント

13

[黒田]
え?じゃあさっきの桂林で奇跡的な風景との出会いがあって、それで風景写真へのスイッチが入っちゃったって事?

[Kyon.J(きょんきょん)]
まあさっきの話だけだとそこまでのスイッチは無かったんだけど…更にきっかけになるような出来事があったんだ。実は、2016年4月大きい腫瘍が出来て手術したの。中国に帰って手術して、療養期間で本当は2ヶ月は休まなきゃいけなかったんだけど、三週間位毎日ベッドに居たら本当につまらなくて人生が退屈だと思っちゃったんだよね。ずっと壁のシミを見続ける生活でさ。

[黒田]
壁を見極め続けてたんだ(笑)

[Kyon.J(きょんきょん)]
人生がどん底っていうか、生きている意味が無いっていうか、私の人生は本当にこれで良いのか?って、なぜかネガティブモードに入っちゃって、そのとき急に「LIFE!」っていう映画を思い出したんだ。編集部のネガフィルム管理部門で働く人がフィルムをグリーンランドまで探しに行くっていう話なんだけど。

[黒田]
ショーン・ペン出てくるやつでしょ。

[Kyon.J(きょんきょん)]
うん。そこで出て来る曲を思い出したの。その曲がなぜか急に頭の中に流れてきて、映画のストーリーを思い出して、その主人公も私みたいに、最期にどうすれば良いか?みたいに思うんだよね。毎日変わらない日常を過ごしていて、でもやっぱり彼はそこではなく外に出る、夢を追うんだ、って決めたの。私の中でも冒険物語が始まって、私もそういう風になりたい。私もそうしないと自分の人生がつまんなくなるってなぜか悟った。
急に思いが、「あー!あたし行きたい!」ってなって。それで親にちょっと旅行行ってくるわってカメラを持って言い放った。そこで親は「2ヶ月動かないで」って医者に言われたでしょって猛反対。でも「私は行くんだ。行かないとだめだ絶対行くんだ!」って譲らなかった。絶対行かないと私はもうここで死ぬんだと言って親と大喧嘩になっちゃってさ。最終的には親戚に若い人がいるんだけど、その人も一緒に付いていくなら行って良いよって言われて、その人に同行してもらうことになったわけ。
その時向かう場所に選んだのは 「桂林」 だった。もう一回あの景色を見たい。もう一回あの景色を見て、カメラでちゃんと撮って美しい大自然をこの目に刻みたいって、すごく熱い思いを抱いて入院3週目で出た。

[黒田]
3週目で出たんだ。医者には止められなかったの?

[Kyon.J(きょんきょん)]
その医者は本人がまあどうしても行きたかったらリフレッシュにもなるだろうし、血さえ出ないように気をつけてゆっくり歩けば良いよって言ってくれた。それで、すぐに行ったんだけど前に登った同じ山でも今回は登るがのすごく大変だった。振動を与えると、ちくちく痛くて痛くてしょうがなくて、前は30分で登れたところが今度は2時間位登ることになった。それで逆算して、このペースだと朝日はもう無理だと思い、そこから夕日を撮りに行く事にチェンジ。そして夕日のショットが何枚か撮れた。
その最終日。ふと3時に起きて車の窓を触ったら水滴が付いていたから、つまり霧があるか、雲海があるかのどちらかだと思ってこれは絶対行かないと!って思った。その時はまだ日の出が5時半か6時だったから遅いペースでも今から歩けば絶対に間に合う!と意気込んで向かったわけ。
そして、辿り着いた時に、雲海が目の前に広がったの。もう大興奮で。本当にこれが撮れた事で、人生がぱっと明るくなったんだ。

[黒田]
そんなに桂林て場所で雲海を見たかったんだね。

[Kyon.J(きょんきょん)]
うん。何でもう一回桂林行きたかったっていうと、2月に親と旅行で行った時は霧にしか出会えなくて、雲海が無かったの。だから雲海の写真が撮りたい撮りたいと思っていて、でも雲海っていうのはタイミング次第だし、なかなか出会えるものではないから絶好のチャンスと感じて死ぬ気で登ったわけ。

[黒田]
なるほど。最初2月に桂林を撮って、術後にまた撮って、本当はここに人生的なレベルでのターニングポイントがあり自分の進む道がはっきりしたって感じかな?

[Kyon.J(きょんきょん)]
はっきりした。写真が撮りたくてしょうがないってなったね。

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