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フィルムの距離感は、片思いと似ている

フィルムの距離感は、片思いと似ている

2017年12月14日

次にやりたいこと

9[黒田]
次はこれがやりたいなとかって展望でもビジョンでも、そういったものはありますか?

[護]
そうですね、次は ミュージックビデオ を撮りたいなぁと思っています。

[黒田]
動画ですか?

[護]
動画も撮ろうと思っています。いろんなことに興味があるんですよね。みんなもいろいろやっていますし。自分が撮ったらどうなるかなって思います。

[黒田]
それは思いますね。けっこう映画が好きなんで、ミュージックビデオを撮りたいなって思う部分もありますし、表現したいというのもありますけど、年のせいなのか新しいこと覚えるのが段々と億劫になってきたというか(笑)。

[護]
同じです(笑)。なんかもういっぱい言い訳して、「私は編集しないで載せているんです」とか言っていますけど、単純にパソコンが苦手なだけでめんどくさいんですよね。

[黒田]
フィルムはね、そのままでいきますからね。

[護]
自分の好みとか色味を見つけてしまえば、はめていくだけなので楽かもしれないですけど、それまでがもう大変です。

[黒田]
自分はほとんどそこの学習に費やしている気がしますね。自分の好きな色とか雰囲気があって、それを出すためにPhotoshopとかLightroomとかいろいろ練習というか勉強とかしてやっています。ただ人の造形を変えたりはしないですね。顔を小さくしたり目を大きくしたりというのは一切しないです。色とかはフィルムではやらないですけど、デジタルなんかは変えたりします。そこで自己主張している部分はあると思います。

[護]
そうだと思います。「この写真、誰々さんっぽいな、やっぱりそうだ」みたいな。

[黒田]
フィルムですけど、護さんっぽい写真もありますね。
複数人を撮っているのとか、映画とかストーリーを連想させられるんですよね。毎回プロットを作っているんですか?

[護]
初めての時は作っていなかったんですけど、だいたいどういう服を着せたいかとか、雑誌のなんとか特集とかってあるじゃないですか?まずイラストを最初に書いて、それに似た服を下北沢とかに探しに行くんですよ。古着で、自分も着られて、衣装になりそうなものを買って、揃えて、って感じですかね。
普通に 文字だけ先に起こします。 ぶっ飛んでいる例だと、魔法少女ミノリちゃんという女の子がいたとして、魔法のステッキはなんだろうって考えて、引きこもりでゲームをやるからコントローラーをステッキにしようとかですね。魔法少女になりたい、コントローラーを持っている、でも何者でもない、そういうのをひたすらコンセプトボードみたいに文字だけ起こす時もあれば、絵から入る時もあります。後はひたすらそれに合う音楽を探して、自分の中でちょっとしたミュージックビデオというか、 ショートストーリー を撮っているみたいな感じです。

[黒田]
だからですかね。シーケンスがありますよね。

[護]
そうですよね。どの順番で出そうかとか、並べ替えもとても悩みます。

[黒田]
そこは難しいところですね。そういう意味でもそれを理想的に出せるのが写真集だったりWebサイトだったりとかですよね。そういう作品がWebなり紙で見られる何かがあると、プロモーション的にも合理的でいいと思います。映画が好きなのかなと思ったんですよね。一個のアイディアから、どんどん連想されるものを組み合わせていって、矢継ぎ早にいろいろなことがつながっていきますよね。

[護]
たぶん生きてきた27年間の中で、自分が好きなものに当てはめて撮っているんだと思います。
そうすると、いつかは枯渇してしまうんですけど、でもその代わりに新しいものはどんどん生まれてくるので、なるべく外に出ようと思うんですけど…家が大好きで(笑)。

[黒田]
わかります。でもそこは逆ですね。自分は元々、自分にあったもので写真を撮っていたら、狂った感じにしかならなくて、あんまり良くないなと思いまして、他からインスピレーションを得ることが増えましたね。昔に撮った写真とか今になって見るとひどいですね(笑)。友達で青く塗れる人を探して、青く塗って新宿を歩いていたりとか(笑)。

[護]
何を思ったんですかね(笑)。

[黒田]
本当に意味がわからないです(笑)。
その時は面白いなと思ってしまったんですね。「新宿でブルーマンを発見した」とかツイートされていて。物議を醸し出しそうじゃないですか。自分でも意味がわからないですね。

[護]
面白いですけどね。
でも初めて見て、これをプロフィールのページに載せていたら、「どういう方だろ」って思うかもしれないです(笑)。

[黒田]
なりますよね(笑)。ですので、封印しているんです。

[護]
逆に出してほしいですね。今、自分が好きなものだけ撮ったらどうなるか。

[黒田]
そのターンはほしいですね。当時は別にやりたいことやっただけですからね。人生は長いというか、割と寿命は短いと思うんですけど、そのうち本当にやりたいことだけやりたいなとは思っています。
護さんは撮っている写真とか、他の普通に写真を撮り始めた人と比べて、筋が通っているというか、コンセプトとかワークフローみたいなところがしっかりしていると思うので、紙にまとめるとかそういうのがあっても割とすんなりいきそうな気がするんですけど、あんまり興味ないですか?

[護]
したいなとはもちろん思いますけれども、せっかくフィルムの写真ですし、それこそ本にしたほうがいいと思うんですが…、自分でやったらどれを削ればいいんだろうとかまとまらなくなりそうです。
でもやっぱり調べたりとかはしますよ。去年から約1年間、撮ったミキちゃんという女の子は、「せっかくだからまとめたいね」とは言っていたんですが、「自費出版でいくらかかるのかな?」なんて言っています。

[黒田]
展示とかどうですか?

[護]
母が毎年12月に個展をやっているので、「本を出したいんだったらそこで売っていいよ」とは言ってくれていて。作るにしても売る場所はネットでもどこでもあるなとは思っているんですけど。

[黒田]
回収できると思いますけどね。

[護]
わかんないんですよね。お金を稼ぐことは脳みそに入っていないんです。

[黒田]
確かに自分もやったことないんで、無責任に言っていますけど。周りの話を聞く限り、カメラマンは自費出版して、展示やって、販売して…みたいな人も多いですよね。自分はそこに興味がないしお金も別に積んでほしいとは思っていないのですが。
興味はあるんですね?

[護]
興味はもちろんあります。単純に自分が欲しいです。本になったものを見てみたいです。

[黒田]
記録用にですかね。

[護]
1年毎の成長記録じゃないけど、あったら面白いなと思います。

[黒田]
撮った写真は、デジタルでスキャンしたデータを持っているんですか?プリントはしないんですか?

[護]
最近はプリントもしてもらって送ってもらいますけど、最初は高いと思って、データだけでいいやと思っていました。

[黒田]
なんであんなに高いんですかね(笑)。初めて現像を頼んだ時、何も知らずに全部2Lで頼んだら2万円とか言われました。見積もりがないじゃないですか。いきなり2万で「え?」とか思いました。そこからしばらくフィルムはやらなかったですね(笑)。

[護]
だからもうデータでもらって、いいと思った写真だけ大きく引き伸ばしたりとかしたほうがいいなと思っています。単純にブックは作りたいですね。

[黒田]
見たいですね~。

[護]
近いうちに作れればいいなと思います。

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