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フィルムの距離感は、片思いと似ている

フィルムの距離感は、片思いと似ている

2017年12月14日

写真のスタイル

4
[護]
みんな撮影の時ってどんな感じなんですか?撮影しているところを見る機会ないじゃないですか。

[黒田]
自分のは参考にならないと思いますけど、仕事の撮影で編集の人に言われたのが、 「黒田さんの撮影は能みたい」 って内容で(笑)
本当に理解不能だったんですけど。スタスタスタと目の前に行ってパシャッて盗撮のように撮って、「はいはい」って言いながら去って行く。そしてモデルに全く興味がなさそうって(笑)
だから全く参考にならなければ、ちょっと普通じゃないみたいです。
家柄は普通なんですけど、厳しいところは厳しくって、両親は仕事をそれなりに頑張っている人たちなんですけど、自分はそこまで頑張らなかったんですよ。
ただ、完璧主義じゃないですけど、やるならとことんやるみたいなのは昔から性格としてあって、なので元々は文系の人間だったんですけど、仕事でやっていたエンジニアリングというのは完全に理系の世界なんですよね。それで合理的に、論理的に、かつかなり大きいサービスだったりするので、絶対にミスがないようにというのをやっていて、その一方で右脳という写真的なところをやったりしていましたし。全てにおいて凡人だと思っているんで、 やるからには全力 でやらないと、自分が納得するものにはならないんですよね。けっこう自分の身の丈に合わないものを望んで、常にやっているので、そこに対する集中力とか熱量の入れ方みたいな
ものは異常なものがあるみたいです。

[護]
そうなんですね。

[黒田]
多分護さんも完璧主義というか、やるならとことんやっているわけじゃないですか?そういう気持ちはとてもわかります。
ただ、アプローチの面で言うと、SNSとかも、撮ったら恥ずかしいというか、正にさっき言っていたような、誰に求められているわけでもないし、なぜ出すんだみたいなことですよね。ただ、せっかく撮ったし、言い方は悪いですけど、自分の場合は上手くもないしなんでもない写真ですけど、 「今の自分はこのレベルだ」 という 自戒 の意味も込めて、とりあえず出しておこうみたいなところをやって、それで恥ずかしかったり、後で見たら「この写真はな…」とか思いながら出しているんですけど、それによって どんどん前に進むこと を目的として、 SNSを活用してる という経緯はありますね。
そういう出し方とかマインドの部分は違いますけど、同じようなことを今までやって、写真で食べていくという感じになったので、少なくとも自分なんかより素質というか、環境みたいなものは揃っていると思うので、このままその熱量で続けていったらとんでもないところにいきそうな気がします。

[護]
いやいや、熱量が続くかですよ。
周りに恵まれているというか、周りに「撮っているんだったら本にしたりお金を稼ぐ方法を考えたほうがいい」って言われることがプレッシャーになってくるんですよ。
私は売れるとかではなくて趣味で楽しく撮っているものなんですけど、人はお金儲けを考えるじゃないですか。例えば、とてもきれいな子がいて「モデルやればいいのに」みたいに言うじゃないですか。そういう軽い気持ちなんですよ。でも本人にとっては、「う…」ってなってしまうんですよね。それで食べている人がいる以上は、私のほうが邪道だと思ってしまうこともあって、勝手に自分で自分にプレッシャーをかけていますね。誰もより良くなれなんて思っていないんですけど。

[黒田]
そうですね(笑) 自分も色んな先輩に写真やめるんじゃないかって心配されてます。言われているようにプレッシャーは自分のために大切ですよね。

[護]
そうですね。下手になっていたら、悔しいじゃないですか。

[黒田]
そうですね。昨日よりも マシになろうという365日 ですね。しかも自分の場合、元々は全く違う仕事をやっていて、途中からプロカメラマンになったことを負い目に感じていて。ずっと何十年も写真をやってきた人たちもいるわけじゃないですか。その人たちに負けないように 倍は努力しないといけない と思っていますし。
それで例えばいろんな仕事を頂いて、人に教えたりとか、そういう仕事もあるんですけど、やっていいのかなと思う時もありますし、でもそこは割り切るというか、「カメラマン」じゃなくて、 自分の名前で生きていく しかないというか。そういう意味だと、世の中的にも個人を評価する時代になっているというか、そういう意味も考えると、護さんも写真を撮っているという点と、女優・タレントとしてやっているというところをうまくミックスできて、全てを活用できる道みたいなものがあるんじゃないかなという気はしますけどね。

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