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アートは人を救うものだと思っている【写真と生きる】

アートは人を救うものだと思っている【写真と生きる】

2018年7月26日

次に向けて

[黒田]
もう少し浅間国際フォトフェスティバルの話もお聞きしたいのですが。プレをやるじゃないですか、そこで得られる様々な反応とかもあると思うのですが、そういったものを見て第1回をやるということですよね。

[速水]
はい、さらに全力で来年やります。

[黒田]
そうなるとあと1年しかないとも言えますよね、第1回もプレと同じ敷地内で行うんですか?

[速水]
来年に関しては、プレの敷地内は最低限やって、さらに広域に広げていきたいと思っています。最終的な目標としては「世界中から、フォトフェスティバルに来るために御代田を目指して人が来る」、という状況を作るというのがゴールかなと思っていて。まず今年は敷地内でやります。そして少しずつ広げていって来年は御代田のいろんな場所で展示をしていって、スタンプラリーのように回っていただいたりですとか、町のまだまだ沢山ある良いところで展示をして、町中が写真の町になっていくということの片鱗が感じられる来年であればよいなと。

[黒田]
なるほど、参加型のコンテンツを全部アマナが作られているわけですよね。そこにユーザーが参加するようなものはありますか?例えばコンテストのようなものとか。

[速水]
将来的にはそういったことも考えていますし、あとはポートフォリオレビューですとかそういったことも考えています。

[黒田]
ポートフォリオレビューがあれば本当に写真家を目指す人たちにとっても憧れのフォトグラファーもいらっしゃるわけですし、写真の登竜門として一般ファンとして、ユーザーとして、そして写真家としても将来を担っていく人たちにとって聖地となるようなイベントになりそうな。

[速水]
本当にそのとおりですね、やはり冬の時期は私たちは集客が難しいと思っていますので、それを逆手に取ってアーティストやフォトグラファーの方々が御代田にお住まいになって冬の間に作品を作っていただいたりですとかも考えています。

他の構想としては私たちはプラチナプリントの工房が海岸エリアにあるんですけども、そういう工房的なものを敷地内に作り、この世界に印刷という形で、物理的に写真が生まれる瞬間。そういう瞬間が垣間見える場所もゆくゆくは作りたいという構想もあります。

暗室作業は本当にとても楽しいんです。やはり写真が生まれてくる姿を目の当たりにすると感動する方が多いと思うんですよね。そういったものを見てほしいというのもあります。また、そういう流れで去年に日光写真のワークショップをやったんですね。

[黒田]
日光写真ですか?

[速水]
太陽の光で画像が浮き上がってくる液体がありまして。支持体は布でも紙でも何でもいいんですけど、その感光液を支持体にぬって、上にフィルム(ネガ)を乗せて太陽にあてると、だんだんと絵になって浮かび上がってくるというものです。

[黒田]
あ〜、見みました。ニュースか何かで。

[速水]
そのワークショップを去年やって好評だったんです。実際は暗室作業と原理は異なりますが、体験としては追体験できるような部分がありまして、そういったワークショップをやったりとか。なので、本格的なことをわかりやすく様々な方々向けにやっていく、それが最終的には写真文化の振興という部分につながっていくのではないかと思っています。

[黒田]
そうですね、本当に創造している風呂敷の広げ方が多方面というか、全方位的に夢はいっぱいな、でもそれだけの規模と情熱があるというのをお話を聞いていて感じますね。今後将来、写真家でも商業フォトグラファーでも良いと思いますが、日本であったり写真界を背負っていくような方がこういう写真の町で生まれるとかそういうドラマも期待できると思いますし、それは面白いですよね。

例えば、美術館の話を伺っていると、清里フォトアートミュージアムであったりとも浮かんでくるんですけどそういうコレクションをこう単純に展示していくというところとか、企画展をしていく出会ったりとか、実際のリアルのイベントもあるじゃないですか、Webに関してどこまで連携されるかわかりませんが、IMA ONLINEもありますし、実際にできるだけのリソースというかコンテンツプラットフォームはすでにそろっている状態なのであとは熱をどれだけ巻き込めるかというところなのかな、という感想は受けました。

あと、いま色々な方のお話を各所で聞くことが多いのですが、地方との関わりを積極的に持たれて写真と地方創生というテーマで動かされているところは多いと思います。いまは目立って横のつながりにはなっていないようですけど、数年後には一つのムーブメントになるのではないかな?とも感じています。

[速水]
私、地方創生の仕事も一方でやってきたんですけど。やはりこういうことはアマナがやるべきなんじゃないかって思いました。特に写真に関しては。

[黒田]
部外者が無責任ながら、それは思います(笑)

[速水]
そうなんですよね、今回もプロジェクトでやっていて思うのですが。アマナにはプロデューサーがいてWEBデザイナーももちろんいて、アートディレクターもいて、もちろん一流のカメラマンもいて、ドローンも飛ばしちゃうし、動画も作れるよ、みたいな。

[黒田]
そうですよね。

[速水]
恐らく例えば私個人でやろうとしたら、言ってもすごく大変なわけです。ほとんど不可能なことだと思います。ただ、写真文化への恩返しという意味も含めて、アマナという企業が、私たちができることは提供して自治体さんとともにやっていこう、という。やはりそこのところは尊いことだなと思います。

[黒田]
リソースだけで言ったら他の会社でもあると思うんですよね。ただ、組織としてどうしてもフィロソフィーというかビジョンの部分がマッチしていて、且つ実際にそれをやり遂げられる会社が少ないんだと思います。アマナさんはいま実際にやっているわけですけど、熱を感じるというか、今に関してもそうですしコンセプトストアもそうですし。日本とか文化であったりとか、日本のカメラ大国という意味で言うとどちらかというと日本がやるべきとも思いますし。

でも、一企業が恩返しでやるってそれもうドラマでしょって言うレベルのお話になっているのが外からは魅力的に写ります。だからこそ良いと思いますし、そこまでビジネスも絡まないというか、参加する側も楽しくいけますし。変な話、メーカーさんがどうしてもプロモーション要素が混ざってしまいますから。

[速水]
そうなんですよね。プロモーションにならざるを得ないじゃないですか。

[黒田]
そうですよね。

[速水]
そちらの事情もよく分かるんです。私はどちらかと言うと、ずっとビジネスサイドにいて、いかにマネタイズするか、みたいな事を考え続けてきた人生でしたので、ここにきてこのプロジェクトか…というのは個人的にはもちろんあります。でも、私広告写真大好きなんですよ。ただ、やはり、分かりやすく消費され続けるビジュアル、というのがある一方で、文化として残していく何かをきちんと作っていくというフェーズに来ているのではないかなという気持ちがあり。

もちろん広告ビジュアルが消えるとも思わないですし、それはすごく大切なものですしそれはもう文化だとももちろん思います、ただやはり残っていく何か、残していく何かに目を向けたいなと。

[黒田]
それは自分もよく考えますね。アートという文脈で考えたときに広告はやはり消費されていってしまって、思い出した時にあぁ良い広告だったな、良いビジュアルだったなというのがあると思うんですけども。

じゃあその一方で数百年前に描かれた絵でも今いろんな人に見られているわけじゃないですか。美術館だとかアートだとか文化というところにゆくと写真もどれだけ長く残っていけるのか、しかもそれは記録的側面ではなくてアートとしての文脈で「100年前に撮られたあの写真めっちゃ良いよね」というのが後世に伝わっていくような。

写真というメディア自体の再定義ではないですけど、そうなってほしいですし、そういうフェーズに行かないかなとは思っています。撮るやただ美しいものを仕上げるという点においては、テクノロジーによってどんどん敷居が低くなっていくので。常に新しいことをやらなければいけないというのはちょっと違うんじゃないかなというのは思っていますね。

[速水]
やはり、アートって私は人を救うものであってほしいと思うんですよ。いきているなかで、辛いことはやはり色々あるじゃないですか。科学もそうだと思うんですけど、芸術も同じで、人間の生存環境の辛さを緩和するもの、簡単に言うと人を救うものであるべきなんじゃないかなと思うんです。特に写真という、身近な誰もが作り手にもなれるし感じられるようなものが人を救っていく、人生を豊かにしていくものであるならば、それは本当に素敵なことだと思うんですよね。

[黒田]
それは間違いないですね。しかも参入障壁が以前と比べてある種低いので、良くも悪くも。

[速水]
毎日私は絶望していますよ、一流の人たちに囲まれている一方で、自分があまりにもクリエイティブの才能がないので。

[黒田]
それもわかります(笑)、それでもやはり、誰もが最初の一歩ははじめやすい世界だから、分母も増えて傑出した才能が発見されやすいのかなとは思います。

[速水]
そうかもしれませんね。

[黒田]
野球とかサッカーとかみんなやりますけど、分母が大きいほうがスターが生まれる可能性があるのかなとも思いますし、いまAPAさんとかも学校と一緒に写真の授業をやられていたりとか公共教育とかにも入ってきているみたいですし、日本文化として写真が武器になると良いのかなとは思いますよね。フランスのワインやシャンパンといったレベルで。すでにハードウェア的には「カメラ=日本」というのはあるとは思いますが、プレイヤーとしてもそのイメージが世界共通認識となって写真大国にもなれたら良いですよね。

[速水]
本当にそうですよね、カメラ大好きだよねとは思うけど、写真大好きなのかなと思うとちょっとどうかなぁって。

[黒田]
でもどうなんですかね、今のコンテンポラリーなフォトグラファー、アーティストとしてやる人もそうですし、商業目指している方もそうですけど、カメラマンの数はとても多いのかなと思っていて、それを一つの国として見ると日本はものすごいアベレージが高くて、クオリティの高いフォトグラファーやハイアマチュアが多いと思うんですけど、海外全体と比べた時に島国という日本語の壁で世界に出て行きにくいだけなんじゃないかって。

その点でそれこそ太田さんもそうですけどIMAの方で海外のギャラリーとのコネクションを提供したりとかというのも結局なんか遠いところで今回のプロジェクトとも、アマナ自体の思想が繋がっていて、それが各プロジェクト、各部署に浸透しているんだなというのをすごく感じますね。

[速水]
行き届いてますよ

[黒田]
目標は写真国家で。かなり夢ありますよね。

[速水]
ええ、夢ありますよね。

[黒田]
楽しみですね。

[速水]
とにかく皆さんと会場でお会いしたいです。是非、浅間国際フォトフェスティバルへお出かけください!

[黒田]
はい!とても楽しみにしています。それでは、本日はお忙しい中、ありがとうございました!


プロフィール

速水桃子
株式会社アマナ 御代田プロジェクト プロジェクトマネジメント

クレジット

制作:出張写真撮影・デザイン制作 ヒーコ http://xico.photo/
カバー写真:黒田明臣
出演:太田睦子

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