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写真を糧に生きている人を写真家と呼ぶ【写真と生きる】

写真を糧に生きている人を写真家と呼ぶ【写真と生きる】

2019年11月28日

広告を撮る

7岩波書店 広辞苑 ポスター(1998年撮影)

-突き詰めた写真-

[黒田]
お仕事の経験であったりとかインプットとかってあると思うんですけど、自分の中のクリエイティビティに多面性があるんですかね?

[白鳥]
そうね、ある時は四角いものが好きで、ある時は丸いものが好きで。

[黒田]
いろいろな角度から興味があって、それに対するアウトプットをどれも1級のクオリティにする実力があるのがユニークなんでしょうね。

[白鳥]
今回作品集を企画してくれた玄光社の川本康統括編集長が、そのあたりに興味を持ってくれて、「白鳥さんの仕事はスタイルや作風がものすごく多種多様だから、白鳥さん1人だけで広告写真年鑑みたいな本が作れますよ」ということで本作りが始まって、そうこうするうちに写真展の話も持ち上がったんですよね。

[黒田]
こんなにもスタイルの違う作品を一人の写真家が撮ることができるなんて、とても信じられません。狂ってますね(笑)

僕も写真の世界に入ってまだ日が浅いですけど、はじめたばかりの頃におもしろいからいろいろ撮りたいものを撮ってたら、偉い人にブレてるって言われることがあって。その人が言うには、1つのことを突き詰めたほうがいいという話だったんですけど。それが正しいかどうかはともかく、その人の理論でいえば白鳥さんルールの外側にいますね。

[白鳥]
それはね。これは僕の最初の頃の作品なんだけど、これとこれのトーンが似てるんだよね。

[黒田]
拝見しました。これはフィルムなんですか?

8

[白鳥]
そう。

[黒田]
いくつぐらいの時の作品なんですか?

[白鳥]
これは30-50代くらいかな。

[黒田]
これは…どういうことなんですか?Photoshopとかじゃない時代じゃないですか。

[白鳥]
これはね、スタジオに塀を作って、下の方にドライアイスを溜め込んで、足元を黒い布で溜め込んで…。イラストっぽいんだよね。SFアートみたいなのが好きな時代があったんですよ。

[黒田]
今でいうデジタルグラフィックみたいな?

[白鳥]
そうそう。これを1発でやったんですよ。

[黒田]
そんなわけあります?

[白鳥]
こういうことやっていて、これが割と仕事の方に使えるなって思うような時代があって、いろいろなスキルが仕事に役立ってきているんだと思っている。

[黒田]
なるほど。それはすごくわかることがありますね。僕が仕事になり始めたのも、いろいろなことをやりたいように好きで撮っていたからでした。写真を仕事で頼まれるようになった時に、これ作品撮りした時のあれを使えるなーみたいな形で生きてくるというか。

[白鳥]
そうそう。僕なんかもね、自分の作品撮りのために、会社員だった時のボーナスは全部作品に使っていいってカミさんに言ってもらって、いろいろな素材とか買ってたんだよね。

-選択して集中する-

9

西武百貨店 東京博 「よい世紀末。」 ポスター(1990年撮影)

[黒田]
他の人はどうかわかりませんが、自分みたいなデジタル世代の人間は写真1枚を撮るっていう行為のウェイトが軽いんですよね。1回撮るのにスタジオ借りたりするのがもったいないって感じるというか。この世代の多くは、質より量みたいな発想があるんだと思います。そこはもしかしたらクリエィティブを突き詰める力の弱さみたいなところにもなってしまうのかもしれないですね。この写真をみてると。

[白鳥]
僕はね、本業である写真以外の全てで負けていいと思っているんですよ。友達とやるゲームでもゴルフでも、どんどん負けてくるんだよ。それでもよくて、全て放棄しているんだけど、本業では負けたくない。

[黒田]
選択と集中が半端じゃないんですね。

[白鳥]
それはもう写真部入った時のことだから40年前くらいかな。だからみんなでゲームや何かをやっていても気にしないわけですよ。

[黒田]
その発想に若い時からいくってすごいですね。やっぱ狂気ですよ。

[白鳥]
他にも映画とかの趣味があるんだけど、楽しむことだよね。だけど競争することって結構ストレスにもなるし。そうなると写真だけでいいやってなるんだよね。

[黒田]
すごく健康的な感じがしますね。それで実際写真で圧倒的な結果を出されているわけですし。白鳥さん世代の人たちってみんなそういう気合いを持ち合わせているものなんですかね。

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