2018年8月30日
[黒田]
例えば、今はEyeEmはアプリ上でメインにやられていますが、今後、ブラウザに力をいれていくようなことは考えていないんですか?
[GEN]
力は入れているんですが、リソースがそんなに多くないのでフォーカスは必要ですね。
考え方としてはデスクトップなどのPC版を作ったのは、レベルの高い人たちがやはりデスクトップPCでフォトショップなどを利用するので、以前は無かったデスクトップ用にバッチアップロードを出来るものをつくったんです。コミュニティのために。
当然そちらのほうが写真のクオリティも高くなるので、力を入れて作りました。
[黒田]
画質もだいぶそれで変わってきたりもしますね。
[GEN]
そうなんです。そこはデスクトップのメリットの一つですよね。バッチアップロード出来た方が数も増えますし。
[黒田]
Flickrなどはそれがイージーにできる。そういう部分を引き継いでいるのかなと感じます。
[GEN]
はい、インスピレーションを受けたり、良いところは大いに参考にしています。
[黒田]
良い意味で。その点はInstagramにはないので、写真をどうやって見るのが、フォトグラファーにとってもハッピーで、ユーザーにとってもハッピーなのかというのを体現されてますよね。
[GEN]
そしてInstagramのよくない点としては、表示がスクエアになってしまうじゃないですか。本当の芸術家にとってはそういうふうに切られるのは嫌でしょう。
[黒田]
意味があってそのサイズなのにという。最近は選べるようになりましたけどね。
[GEN]
そうです。僕たちは、そのアスペクト比は普通にしてるんですよね。昔のInstagramは全部スクエアに、僕たちは昔からサイズは元のままです。それは芸術写真家のためにそういう風にしたんですよね。
[黒田]
制作側からすると、一律スクエアのほうが見栄えもコントロールもしやすいんですけどね(笑)そういうUI的な配慮が作家としてはありがたいところです。
細かいディテールまで含めて、すごくフォトグラファーのために設計されていて、アップデートもされているんですね。
逆に、フォトグラファー以外の一般ユーザーに写真を見て欲しいなといったような考えは特にないんですかね?
[GEN]
まだありませんが、僕たちのマニフェストは「 誰でも入ってください、そしてどんどん良くなっていく 」というツールを渡すこと。
だから僕たちのマガジンやブログ、チュートリアルや「こういったものが今売れる」「こういったものがいま展示されている」というのを啓蒙していって、一般の人にもどんどん入ってくるようになってほしい、という思いはあるんです。
[黒田]
なるほど。文化というか、良い写真を見るカルチャーを作っているような感じですかね。
[GEN]
そうです!まさに。沢山綺麗な写真を見るとみんな眼が良くなるし、そういうものを見せて、「みんな良くなってよ」という考え方をいつもフォローしています。
[黒田]
それは良いですね。EyeEmというのはこういう哲学とマニフェストで行われているサービスなんだということが分かっていくと、そこにある種良い意味での宗教観というか、空気のようなものが出来るとサービスとしては強いですよね。
[GEN]
大事だと思います。それがダイバーシティというか、多様性。だから我々はエリートじゃないんです。権威的でもない。写真が好きな人を集めたいんですよね。それが大事だと思う。
[黒田]
なるほど。一番上に「 写真が好き 」というものがあって、その下にいろいろな…
[GEN]
だからInstagramはセルフィー、EyeEmはセルフポートレート、という住み分け。そういうメッセージ。
[黒田]
うまい!それは凄く分かりやすいですね!(笑)
[GEN]
それが僕たちのコアですね。
[黒田]
なるほど。
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2024年04月26日 発行
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