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撮れ高よりも、楽しむことが大切【写真と生きる】

撮れ高よりも、楽しむことが大切【写真と生きる】

2019年4月25日

もともとは写真を撮らない人間だった

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[黒田]
その頃にはもう、写真は始めていたんですか?

[詩歩]
いや、それが一眼カメラもなくて。

[黒田]
そうなんだ!?

[詩歩]
ウユニ塩湖にも行っていたんですけど、そのときの写真が本当にないんですよ。私は何をしていたんだろうって(笑)キュレーション側だったので、写真に関しての知識がありませんでした。

一眼カメラを初めて買ったのも、2014年のこと。絶景の仕事をはじめてからですね。普通に旅行をしていた時はコンデジしか持っていなくって、そもそも写真を撮るのもそんなに好きではなかった。

[黒田]
ウユニ塩湖なんかは、僕の感覚だと撮れなきゃ行く意味がない感じですよ。

[詩歩]
そうなんですよ。みんな撮りに行くじゃないですか。でも私は目で見て感じたいタイプなんです。歴史好きなので「古代遺跡を見たいな」というモチベーションで行って、写真は撮らずに目で見て、五感で感じて、1時間そこでボケーっと(笑)

[黒田]
マジ!?

[詩歩]
でも、写真もそろそろやったほうがいいんじゃないかなって(笑)せっかくいろいろなところに行くなら、写真で残せたほうが、旅の良さも伝えやすいじゃないですか。

[黒田]
伝えるというところで言えばビジュアルコミュニケーション的に写真や動画が一番わかりやすいですね。

[詩歩]
イタリアにランペドゥーザ島という島があって、船が浮いて見える島なんですけどね。そこに仕事で行くことになって、その時にはじめて一眼を買いました。ニコンのD3300です。本当に一眼カメラがなんなのかもよくわかっていなかったので、とりあえず、その黒いボディの大きいやつを買えばいいのかなと思ったんですよ(笑)

[黒田]
とりあえず、大きければいいだろう、と。

[詩歩]
そうそう。2017年ぐらいまではずっとそのニコンのD3300を使っていたんですが「そろそろそれだとやばいんじゃない?」といろいろな人に言われ始めました(笑)

フルサイズがいいらしいと聞いて、買ってみようと思ったんですが、何を買っていいかわからない。業者さんやまわりの人に「これこれこういう条件なんですけど、どういうのがいいと思います?」と聞いて、今使っているソニーのα7Ⅱを一昨年の夏ぐらいに買いました。

今は、仕事のメインはそっちを使っていますが、コンパクトで軽いので、旅行にはすごくいいと思います。

[黒田]
それはいい選択だったと思います。ミラーレスで、小さくて、フルサイズで。確かに僕もそれを勧める気がします。

絶景プロデューサーの仕事とは

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[黒田]
詩歩さんは、ご自分のことを「プロデューサー」とおっしゃられていますよね。インフルエンサーにも近いのかなと思います。というのも、行って、書いて、伝えるというコンテンツ制作能力が抜群。ライターとしての能力がすごいです。あれをもし、自分でやっているならばですけど(笑)

[詩歩]
ほんとうですか!うれしいな。影ライターはいなくて、自分でやっていますよ。依頼はインフルエンサーとしていただくことが多いです。自分ではあまり意識してないのですが。

[黒田]
だとすれば、やはりそこがすごいことだと思います。フォトグラファーも、ある程度有名になって注目されるようになると、インフルエンサーとして自分自身がメディアになる部分が出てきます。インフルエンサー的な活躍もできるひとは、クリエイティブな能力が高いですよね。

詩歩さんは「あれ?こんなこともやっているの?」というものまで、いろんなお仕事をしていて、クリエイティブが高いなというのをすごく思います。たしか、どこかとコラボして商品開発なんかもしてましたよね。

[詩歩]
いろいろやっていますね。ツアーの企画とかも。 文章だけ書いているわけでも、写真を撮って納品しているわけでもない。インフルエンサーとして依頼をもらっていても、投稿して終わり、というわけでもありません。

「なんの仕事をしているの?」と聞かれて一言で言えないという悩みがあって「絶景の仕事です」と言うんですけど(笑)

[黒田]
それはとてもよくわかります。僕も肩書き問題はあって、いくつあるのか自分でも本当によくわからない。「2足のわらじ」どころか「4足のわらじ」ぐらいの感じなんです。

[詩歩]
肩書きは常に悩んでいますが、自分の強みは理解しているつもりです。私の一番の強みは「このターゲットにはこういう絶景が刺さる」とか「この景色はこうやって切り取ったらきっとうまくいく」というふうに、いろいろ旅行をしている中で得た経験や知識から、発信の仕方や風景の切り取り方のベストがわかるところ。それに、普通の人が知らないような旅先をリサーチして周ったりできる。

[黒田]
自分のプロフェッショナルな部分を生かして、外部にアドバイスできる。企画屋さんというか、そういうスキルセットがある人は、なかなかいないと思うんですよね。

例えば写真がうまい人も、写真を撮るのはうまいんですけど、それ以外で企画をしたりとか、仕組みをつくったりとか、商品をつくったりとかっていうように、そのスキルを更に応用することになると、一気にできない人が多くなります。特に写真だけをずっとやってきた人なんかはそう。

[詩歩]
黒田さんは、もともとはエンジニアなんでしたっけ?

[黒田]
そうです。あっちの世界で言うところの上流工程というか、仕組みづくり、サービスづくりのところからやることが多かったので、この世界に入っても企画からはじめることに抵抗はなかったんですよね。それがマルチにできている理由かもしれない。詩歩さんはなんでもありな感じでやっていますね。

[詩歩]
私、実はものすごく飽き性なんです。1つのことを追求できないタイプだから、いろいろなものに手を出して少しずつやる方が楽しい。

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