Special Issueビズスタ特集

大人たちよ、旅に出よう

大人たちよ、旅に出よう

2016年5月26日

人生経験が豊かになるほど、同じ場所でも見え方が変わる。高橋克典さんが考える「大人ならではの旅」とは

 
海外旅行が手の届かない夢だった時代は遥か昔の話。いまでは気軽に外国に出かけられるようになった。旅のスタイルも団体旅行から個人旅行へと変化し、さらに年齢などによって旅の目的も多様となった。多数のテレビドラマで人気を確立する一方、自他ともに認める旅好きとしても知られる俳優・高橋克典さんもまた、歳を重ねるにつれて旅のスタイルが変わったという。
 
「昔はバックパッカーでプランを立てず、行き当たりばったりの旅を楽しんでいました。若い頃は、自分というものが確立していないので、どんな体験でも糧となるものですよね。価値観を根底から揺さぶられるような出来事とか、ショックを受けてしばらく落ち込むような経験とか。あの頃は、むしろそうした「自分自身を振り回す」旅が好きでしたね。」
 
旅を通していろいろな角度から自分の変化を楽しんでいた高橋さんに、大きな転機をもたらしたのは、モンゴルへの旅だったそうだ。見渡す限りの平原に、思わず「これが地球だ!」と感嘆の声を上げたとか。
 
「丘の上から地面を見ると、向こうにゲルがポツポツと建ち、そこから煙が上がっている。まるで宇宙ステーションのように見えたんです。なぜこの光景が異世界のように見えるのだろう、遊牧民の方々と自分は何が違うのだろう…と、人間としてのあり方まで考えさせられましたね。」
 
若い頃の旅は、異文化に触れ、視野を広げる大きな機会。それが心に奥行きをつくり、人生を生き抜く知恵となる。だが、人生経験を積むと、刺激よりも「人生の豊かさ」を実感できる旅を好むようになる。
 
「以前はタイや香港などの混沌とした雰囲気が大好きでしたが、いまは興味の対象が少し変わったように思います。旅の目的や行き先の好みと言うより、自分が欲しているもの自体が変わってきたのかもしれません。」
 
いま、高橋さんは、BS-TBSの旅番組「極上のクルーズ紀行」でナビゲーターを務めている。番組では、実際にドナウ川を巡るクルーズ旅行を体験した。
 
「ハプスブルク家の栄枯盛衰をテーマに、女帝マリア・テレジア、エリザベート皇妃の人生を振り返る旅でした。宮殿や美術館、博物館を回ったのですが、クルーズの効率の良さにも改めて気付かされました。ショアエクスカーション(寄港地観光ツアー)もそうですが、旅にはまだまだいろいろな形があるんですね。」
 
エクスカーションとは、訪れた場所で一方的に説明を受けるのではなく、ガイドや専門家の解説に耳を傾けながら旅行者も意見を交換できる「参加型」の旅を指す。受け身ではなく、自らの知識欲を満足させるスタイルは、近年の人気の的でもある。
 
まずは、リラックスできること。そして、テーマを決めて文化や歴史を再発見できる内容であること。これが、高橋さんおすすめの「大人の旅」の形だという。馬力に任せて感性を磨いて回る旅から、ゆったりと知的好奇心を満たす旅へ。高橋さんが考える旅の魅力の変遷は、旅慣れている方ならおおいに共感できるはずだ。
ワンランク上の非日常。大人だけが楽しめる贅沢を、存分に満喫したい。


プロフィール
高橋 克典 さん
1964年12月15日、神奈川県横浜市生まれ。
1993年、俳優として本格的に芸能活動をスタートし、1999年のドラマ『サラリーマン金太郎』(TBSテレビ)に主演し大ブレイクを果たす。現在は、『極上のクルーズ紀行』(BS-TBS)でナビゲーターを務めるなど、幅広い分野で活躍中。

『極上のクルーズ紀行』
BS-TBS・毎週水曜21:00〜
優雅なクルーズにスポットを当てた紀行番組。
寄港地の歴史や文化・芸術・工芸品・料理なども含め、客船で楽しむ旅の醍醐味を余すことなく紹介中。「高橋克典が巡るドナウ川歴史探訪クルーズ」は6月8日から29日まで4週連続で放送。


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