Special Issueビズスタ特集

新しい日常は、周囲を豊かにするために遣う。

新しい日常は、周囲を豊かにするために遣う。

2020年8月27日

キャスト欄に名前を見つけるだけで安心し、作品への期待まで高めてくれる役者のひとり、豊川悦司氏。来月に公開が予定されている最新作『ミッドウェイ』は、『インデペンデンス・デイ』『デイ・アフター・トゥモロー』などの世界的な成功で知られるローランド・エメリッヒ監督の作品だ。

第二次世界大戦の戦局、そして日米の運命を決定づけることになる歴史的な大海戦を、何と20年にも及ぶ執念のリサーチで克明に描く話題作。海外作品への参加は2度目となる豊川氏に、この注目の新作映画のこと、新型コロナウイルス禍の影響や近況などについて話を伺った。

|話題の『ミッドウェイ』では、連合艦隊司令長官・山本五十六海軍大将を演じておられます。最初に声がかかった時のお気持ちは。

「え、僕ですか?」と(笑)。自分が山本五十六大将を演じるイメージがなくて、最初は驚きました。監督から届いた脚本に添えられていた手紙に「インテリジェンス溢れる軍人として描きたい」と書かれていました。どの作品をご覧になったのか分からないのですが、僕の演技に知的な印象を抱いてくださったことが嬉しくて。ただ、過去の作品では三船敏郎さんや山村聰さん、役所広司さんなどの名演に彩られている役ですから、大変光栄に感じる一方で重圧も感じました。

|そんな大役に向けて、どう取り組まれましたか。

実在の人物ということで、まず関連書籍を読んで史実を復習することから始めました。もちろん映画もたくさん観ましたが、演じているのが名優ばかりですから、印象が違うのに全員「山本五十六」に見えるんですよね(笑)。エネルギーが溢れていた時代の豪傑という人物像を僕なりに固めて撮影に臨みました。

俳優 豊川 悦司さん:大阪府出身。映画『3-4×10月』(90)、『きらきらひかる』(92)、『Love Letter』(95)、『傷だらけの天使』(97)、TVドラマ『愛していると言ってくれ』(95/TBS)、『青い鳥』(97/TBS)などの作品に出演し、高い評価を得る。映画主演作に『愛の流刑地』(07)、『今度は愛妻家』(10)、『必死剣 鳥刺し』(10)、『一枚のハガキ』(11)、『娚の一生』(15)、など。近年も、『パラダイス・ネクスト』(19)、『ラストレター』(20)、『一度も撃ってません』(20)ほか、多数に出演。海外作品では、ラッセル・クロウと共演した『NO WAY BACK/逃走遊戯』(95)がある。

|実際の撮影現場の雰囲気はいかがでしたか。

この語り尽くされた題材にどんなアプローチを見つけるのか、どう描くのがベストなのか…と、全員が「映画に挑む意味」に向き合うような空気で、とても刺激的でした。ちなみに、米国の撮影クルーたちは、相手が有名人でも無名な僕でも公平に接してくれるんです。海外作品には、ぜひまた挑戦したいですね。

|新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、日本国内の映画やドラマの撮影現場の雰囲気は。

仕事が進まない期間が長かったので、撮影が再開され始めて喜んでいます。仲間うちでは「来年あたりには『新しい生活様式』に即した作品も生まれるよね」と話しています。会話の場面で全員マスク姿とか。

|その「新しい日常」には、どんな姿勢で向き合おうとお考えですか。

いい意味で、自分の過去や現在の状況を振り返る機会と捉えることにしています。最近は1日に会う人数が減りましたが、一人ひとりとの対話の時間としてはむしろ濃いような気がするんです。特に、家族をはじめ身近な人々と密な時間を過ごす契機にもなりますので、いろんなことが前に進みにくい分、自分のまわりを豊かにする時間に充てたいと考えています。

スタイリスト/富田彩人 ヘアメイク/山崎聡(sylph)

『ミッドウェイ』

2020年9月11日(金)
TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー

2movei

監督・製作:ローランド・エメリッヒ
脚本:ウェス・トゥーク
製作:ハラルド・クローサー
キャスト:エド・スクライン、パトリック・ウィルソン、ルーク・エヴァンス、アーロン・エッカート、豊川悦司、浅野忠信、國村隼、マンディ・ムーア、デニス・クエイド、ウディ・ハレルソン
2019年/アメリカ/カラー/上映時間:2時間18分/配給:キノフィルムズ|木下グループ
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