Special Issueビズスタ特集

俳優・写真家・監督として、“命を見つめる”―玉木宏、映画『雪風』に込めた想い

俳優・写真家・監督として、“命を見つめる”―玉木宏、映画『雪風』に込めた想い

2025年7月24日

ミュージックビデオの監督を務めたり、初の写真展を開催するなど、マルチな才能を発揮する玉木宏さん。俳優業の最新作としてはこの8月15日、つまり戦後80年の「終戦の日」に映画『雪風 YUKIKAZE』が公開予定だ。

雪風は、太平洋戦争中に実在した旧日本海軍の駆逐艦。主力の甲型駆逐艦38隻では唯一ほぼ無傷のまま終戦を迎え、戦勝国からも讃えられたという。今回は、兵士たちを統率する先任伍長・早瀬幸平を演じる玉木さんに、本誌の今月のテーマである「国内旅行」とともに作品への想いや撮影のエピソードなどを伺った。

|史実に基づいた作品でありますが、登場人物はオリジナルなのですね。

そうなんです。私は艦上で兵をまとめる先任伍長という役柄なので、泥臭さをイメージしながら厳しさと優しさを併せ持つ人物として演じました。「不沈艦」「幸運艦」とも呼ばれた雪風は、沈没した艦船の乗員救助なども担っていたので、作品内では「目の前に戦争がある」と言うよりも「背景に戦争がある」ような気持ちで、命をどう守るかという視点を重視しながら撮影に臨みました。

|仰る通り、救助のシーンが印象に残りました。

台本をいただいた時は、そこにどんなメッセージが込められているのかを意識して読むのですが、この作品では「生きること」「生き抜くこと」を強く感じましたので、それを大切に演じました。

|終戦80年の8月15日という大きな節目に公開される重要な作品になりますね。

そうですね。実際に経験した方々が減る中で戦争の記憶を継ぐには教科書だけでは不十分で、エンターテインメント作品もその役割を果たすべきだと思います。現実にあったことで、必死に生き抜いた方々が命を繋いでくださったからこそ、今がある。僕も子どもを持つ親ですので、あまり濁さずに伝えるのはとても大切なことだと思っています。

|艦長役の竹野内豊さんとは初共演となりますが、印象はいかがでしたか?

柔らかい空気をまとった方だなと感銘を受けました。とても静かな場面でご一緒したのですが、作品のメッセージが凝縮された大切なシーンで、竹野内さんの魅力がしっかりと伝わると思います。

|映像を観ると、撮影中は大変だったでしょうね。

見た目ほど大変ではなかったです(笑)。漁港の脇に建てられたオープンセットで海風に包まれながらの撮影だったので、臨場感たっぷりな環境で演技に集中することができました。自然に「海の男」の気持ちになれました。

|海がお好きなのですね。今月のテーマは「国内旅行」なのですが、プライベートの旅行で印象に残った旅先は?

島根県隠岐郡の西ノ島町ですね。私の祖父が生まれ育った日本海側の島なのですが、いろいろな種類の岩肌があって非日常的な雰囲気を味わえるんです。もちろん魚も美味しいので、旅先としておすすめです。

|では、公開を楽しみにしている本誌読者へのメッセージをお願いします。

長い人生では苦しいと感じる瞬間も多いものですが、この作品では「それでも前を向いて生きていく」ことの大切さを学びました。映画をご覧になる皆さんにも、ぜひメッセージが伝わることを願っています。ご自身の身近な何かに置き換えて考えるきっかけになれば嬉しいです。

先人たちが繋いでくれたからこそ
今、私たちがここにいる。
この夏、改めて「命」を考えたい。

激戦を生き抜いた“不沈艦”駆逐艦・雪風。
80年前の太平洋戦争から戦後、現代へと受け継がれた命の絆を描く壮大な人間ドラマ。

24

映画『雪風 YUKIKAZE』  8月15日全国公開

出演:竹野内豊 玉木宏 奥平大兼 當真あみ 藤本隆宏
三浦誠己 山内圭哉 川口貴弘 中林大樹 田中美央
田中麗奈 益岡徹 石丸幹二 中井貴一

脚本:長谷川康夫 撮影監督:柴主高秀
VFX監督:オダイッセイ 音楽:岩代太郎 監督:山田敏久
主題歌:「手紙」Uru(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)

>>映画詳細はこちら 

 


 

玉木 宏 さん

1980年1月14日生まれ、愛知県出身。1998年にドラマ『せつない』(テレビ朝日系)で俳優デビュー。2001年の映画『ウォーターボーイズ』で一躍注目を集め、2006年にはドラマ『のだめカンタービレ』で千秋真一役を演じ、人気を不動のものに。その後も、確かな演技力と人間味あふれるキャラクターで、映画・ドラマ・舞台と幅広く活躍。主な出演作に、映画『キングダム』シリーズや映画、ドラマの『ゴールデンカムイ』シリーズ、ドラマ『沈黙の艦隊』シリーズなど。11月配信のNetflixドラマ『イクサガミ』にも出演。近年はアフレコや監督業にも挑戦するなど、ますます活動の幅を広げている。また、写真好きとしても知られ、自身初の写真展を開くほどの腕前を持つ。

PAGE TOP

最近見た記事

  • 最近見た記事はありません。