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新春を彩る、市川團十郎親子の絆。歌舞伎の真髄を銀座で堪能する初春大歌舞伎

新春を彩る、市川團十郎親子の絆。歌舞伎の真髄を銀座で堪能する初春大歌舞伎

2025年12月18日

2026年で 16回目を迎える新橋演舞場での市川團十郎さんの正月公演。團十郎さんが新作・古典を問わず挑戦を重ねてきた大切な舞台で、今回も長女の市川ぼたんさん、長男の市川新之助さんとの親子共演が実現する。

関心が大きく高まり、ファン層の裾野がさらに広がる歌舞伎の世界。期待の初春公演を前にする三人に、それぞれの思いを聞いた。

|昼の部の『熊谷陣屋』では、熊谷直実を 10年ぶりに演じられますね。

前回はすでに父(十二代目市川團十郎さん)が他界しておりましたので、今は亡き(二代目中村)吉右衛門のおじさまにご指導いただきました。「初代吉右衛門が九代目團十郎から預かった恩返し」と仰っていただき、とても感激した想い出がございます。熊谷直実は、今の等身大の私として臨みたいですね。古典的な名作の美しさ、それを表現する歓びをお伝えできればと思います。

|新歌舞伎十八番のひとつとして知られる夜の部の『春興鏡獅子』には、ぼたんさんと新之助さんも胡蝶の精役で出演される予定ですね。

九代目市川團十郎が、娘の翠扇たちの稽古を見て作り上げた舞踊で、一度は胡蝶を経験させなければという義務感がございまして。二人ともまだ身長が伸びるはずですので、最初で最後の胡蝶になるかもしれないと気を引き締めております。

ぼたん 父や弟と同じ舞台を踏むのは久しぶりのことなので、とても貴重で大切な機会だと感じています。弟と一緒に素晴らしいものを作り上げたいと思います。

新之助 姉と僕が胡蝶を演じるのは最初で最後かもしれないと思うと、家族で力を合わせて取り組めるのは、すごく幸せなことだなと感じています。

|今回の演目は、これまで以上に古典にも重きを置いている印象があります。

映画の影響もあり、初めて歌舞伎に触れる方が増えてきましたので、「この機に学んでみたい」とお考えの方も多いのではないかと思いまして。『鳴神』や『毛抜』『鏡獅子』などは、歌舞伎の古典であると同時に日本が誇る芸術作品ですので、ぜひ母国の文化に親しんでいただきたいという思いで選びました。

|映画をきっかけに歌舞伎に興味を抱いた方々に向けて、観劇する上でのアドバイスはありますか。

今は気軽に素晴らしい動画を観られますが、「生の感動」は昔も今も変わらないと思います。逆に、AIやロボットが発達した時代だからこそ、生身の人間が発散する力は大きいのではないでしょうか。歌舞伎は日本固有の文化を視覚的に、感覚的に味わえる贅沢な時間でもありますので、事前に軽く予習した上で足をお運びいただくと、いっそうお楽しみいただけると思います。

|今後、挑戦したいことはありますか。

歳を重ねて、同じことを繰り返すこともひとつの挑戦と捉えることができるようになりました。代々伝わる芸を守り、次代に伝えることも、私個人にとっては「新たな挑戦」なのです。歌舞伎界にとって新しいことと、自分にとって新しいこと、そのバランス感覚が大切なのだろうと思います。

|では、メッセージを。

昼の部の『鳴神』では、中村福之助さんや中村鷹之資さんといった若者たちに、私が預かっている荷物を渡します。人から人へ、時代から時代へと託し、受け継がれてきた日本の文化である歌舞伎の世界をご満喫いただければ幸いです。

新橋演舞場 1月公演
初春大歌舞伎


劇場
新橋演舞場(〒104-0061 東京都中央区銀座6-18-2)
公演日程
2026年1月3日(土)初日~27日(火)千穐楽
休演日
8日(木)・15日(木)・22日(木)
ご観劇料(税込)
桟敷席 16,000円
1等席15,000円
2等A席8,000円/2等B席5,000円
3階A席5,000円/3階B席3,000円

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公演情報の詳細はこちら>>

■ 市川團十郎
1977年12月6日生まれ。十二世市川團十郎の長男。1983年5月歌舞伎座『源氏物語』の春宮で初お目見得。1985年5月歌舞伎座『外郎売』の貴甘坊で七代目市川新之助を名乗り初舞台。2004年5月歌舞伎座『暫』の鎌倉権五郎ほかで十一代目市川海老蔵を襲名。2022年11月・12月歌舞伎座『勧進帳』の武蔵坊弁慶ほかで十三代目市川團十郎白猿を襲名。

■ 市川ぼたん
2011年7月25日生まれ。市川團十郎の長女。2014年3月八千代座『芝居前三升麗賑』で初お目見得。2019年8月シアターコクーン「市川會」『羽根の禿』にて四代目市川ぼたんを襲名。

■ 市川新之助
2013年3月22日生まれ。市川團十郎の長男。2015年11月歌舞伎座『江戸花成田面影』で初お目見得。2022年11月・12月歌舞伎座『外郎売』の外郎売ほかで八代目市川新之助を名乗り初舞台。

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