Special Issueビズスタ特集

本物を目の前に感じる「圧」は芸術の魅力、歓びの体験。それを受け取る感性を大切にしたい。

本物を目の前に感じる「圧」は芸術の魅力、歓びの体験。それを受け取る感性を大切にしたい。

2023年6月29日

映画にドラマ、舞台と精力的に活動を続ける俳優の高橋一生さん。本日公開の主演映画『岸辺露伴ルーヴルへ行く』は、シリー ズで累計の発行部数が1億2千 万部を誇る荒木飛呂彦さんの大 人気コミック『ジョジョの奇妙な 冒険』のスピンオフ作品で、20 20年にドラマ化された『岸辺 露伴は動かない』のスタッフが集 結した劇場長編作品。テレビド ラマの大好評を受けての続投と いうことで、今日を楽しみに待っ た方も多いだろう。 「黒い絵」に宿る謎、美の殿堂 に隠された暗部、そして自らの知 られざる過去。芸術とエンタメが 融合する極上のサスペンスとの 前評判も高い本作だが、「特殊能 力を持つ漫画家」を演じるご本人 から見る魅力とは。今月のテーマ 『大人の芸術』に合わせて、作品 の舞台となったルーヴル美術館 での撮影体験の話題とともにお 話をうかがった。

―『岸辺露伴は動かない』は、2020年から3年連続で年末の 特集ドラマとして放送されまし た。大ヒット漫画のスピンオフの 実写化で、主役の露伴も独特の キャラクターで人気を博してい ますが、オファーを受けた時の感想はいかがでしたか。

素直に嬉しかったです。「え、露伴 役ですか!」と大喜びだったので すが、すぐに我に返ることになり ました。よく考えてみたら、この 役が自分に務まるのか、と。

―ということは、漫画も読んで おられたのですね。

はい、もともと原作のファンなんで す。世界観が大好きなので、反対 に「意識し過ぎないように」と自分 に言い聞かせながら演じました。

―ドラマが大好評でしたが、映 画へと発展することは想定され ていましたか。

第1期を撮影していた時から キャスト、スタッフの方々の熱量 がすごかったので、「映画化され れば面白いだろうな」とは思って いました。ドラマから映画へとい う流れは、とても理想的ですし。

―今回はルーヴル美術館での 撮影ということで、特別なご体 験だったのでは。

はい。すべて「本物」を使用する わけですから、やはり説得力が 違うなと感じました。私自身も、 これまでにも増して役づくりに 没入できたという手応えがあり ました。

―今回の映画化では、キャスト の皆さんだけでなく、スタッフの 方々の多くもテレビドラマから の続投とか。

これまでのドラマチームが再結 集して撮影に臨みましたので、 安心してお芝居をすることがで きました。信頼し合えるチーム で、その結束力の高さは完成し た映像にも滲み出ていると思い ますので、ぜひご注目いただけ ればと思います。

―ところで、高橋さんご自身も、2018年にルーヴル美術館展 のオフィシャルサポーターを務 めておられますね。絵画はお好 きなのですか?

はい。20代の頃はよく美術館に 通いました。今回、改めてルーヴ ル美術館に接する機会をいただ けたわけですが、やはり素晴ら しい体験でした。

―特にお好きな絵などはあり ますか?

たとえば、暗殺事件を描いた絵な ど。照明がない時代なら蝋燭の灯 で見たのだろうか、だとしたら絵 の迫力も事件に対するインパク トも今とは全然違うだろうな⋯ と想像すると、絵画の力が目の前 に現れるような気がします。

―では、映画の内容については 劇場で実際にご覧いただくとし て、本誌読者の皆さんに向けて 「芸術の魅力」などをお聞かせく ださい。

芸術作品は、目の前にして初め て分かることがたくさんありま す。SNSで情報を共有するの も楽しいのですが、実物が発散 する「圧」もまた芸術の力だと思 います。本物と対峙して発見を 得る体験は他では得がたい歓び ですので、それを感じ取る力を 大事にしていきたいです。

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