Special Issueビズスタ特集

つらいと感じることがあっても、 その先に「最高の瞬間」が待っている。 だからこそ、頑張れるんです。

つらいと感じることがあっても、 その先に「最高の瞬間」が待っている。 だからこそ、頑張れるんです。

2021年11月26日

第一線の歌舞伎俳優として舞台に立ちながらミュージカルやテレビ・ラジオに引っ張りだこで、今年は映画デビューまで果たした尾上右近さん。 八面六臂の大活躍で目が回るような毎日かと思いきや、 ご本人は多忙さも「楽しむ」 心を会得しているご様子。今回は、来月に歌舞伎座で開催される「十二月大歌舞伎」第二部のみどころとともに、普段の心がけなどについてうかがった。

―最近はさまざまなシーン で右近さんを拝見する機会が増えました。歌舞伎との違い、または共通する部分はありますか。

歌舞伎は古来の型に役者の思いの限りを詰め込む形で演じますが、ストレートプレイやミュージカルは逆に自分の気持ちから演技を作るという真逆のプロセスで、とても勉強になります。ただ、内容や役柄に関わらずお客様 に喜んでいただく目標は変わりませんので、命がけのパフォーマンスをお見せしなければという思いが強くなりました。

―昨年は自粛期間もありました。心境の変化などはありましたか。

これまでは『求められる仕事』に懸命でしたが、中村壱太郎さんの『ART歌舞伎』 (配信の新作歌舞伎)に参加させていただき自分から発信することの重要性を学びました。

―活躍の場が広がり続けていますが、これだけお忙しいと大変なのでは。

少しだけ感じます(笑)。でも 「大変だな」「つらいな」と思うのはその瞬間のことですし、それを乗り越えて味わう幸福感には勝てませんから。 最高の瞬間を少しでも増やせるように、今は毎日、無我夢中です。

―そんな「つらい瞬間」を上手に乗り越えるコツのようなものはありますか。

歌舞伎の舞台なら、お客様やスタッフの方々のことを考え るようにしています。周囲のことを思えば、自分のことはひとまず棚に置けるじゃないですか。自分のすべきことに集中していると力が湧いてきて、自分も元気になれるんです。

―右近さんにとって、やはり歌舞伎は大きな存在なのですね。

はい、歌舞伎はまさに生きるための意味です。歌舞伎があるから自分自身を保てますし、もしそれがなければ誰よりもだらしのない人間になっていたという確信があります(笑)。どこにいても、そこで何をしていても「あらゆることが歌舞伎に繋がる」と思うと、嘘をつけませんからね。全力を尽くそう、何ごとも楽しもう⋯とポジティブな気持ちになれるのは、歌舞伎があるからこそです。

―来月も歌舞伎座に出演して大きな役を勤められますね。

はい。最高の舞台で歌舞伎の多様性を満喫できる公演ですので、多くの方にお楽しみいただきたいですね。

―最後に右近さんご出演の第二部のみどころなどをお聞かせください。

二幕構成で、まず『男女道成寺』は(中村)勘九郎兄さんと踊らせていただく大事な舞台です。私は男女を踊り分けますので、ぜひご注目ください。『ぢいさんばあさん』は、喜 劇としても悲劇としても感動的な心温まる物語です。個人的には後者の成分が多めな のか、私は見るたびに号泣し ます(笑)。いずれも歌舞伎が初めての方も分かりやすくお 楽しみいただける演目ですので、ぜひお出かけください。

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