Special Issueビズスタ特集

愛し、傷つき、生きた 若き魂。苛烈な愛。

愛し、傷つき、生きた 若き魂。苛烈な愛。

2025年1月30日 PR

大正〜昭和初期時代を舞台に、女優の長谷川泰子と詩人の中原中也、文芸評論家の小林秀雄、3人の恋愛と青春を描いた「ゆきてかへらぬ」。日本映画史に残る脚本家・田中陽造氏が40年以上前に書き上げながら長い間実現しなかった「秘宝」だ。その作品がとうとう、これ以上ないキャストとスタッフを得て映画化する。二人の男性の間で揺れ動き、時に狂気すら見せる難しい役を演じた広瀬すずさんに、見どころを伺った。

―「幻」とも呼ばれてきた脚本ですが、その魅力を教えてください。

田中さんの脚本は言い回しや人物像が現代とは違い、台詞のリズムも独特でとても魅力的です。また泰子、中也、小林という3人の関係性には現代劇ではあまり見られない危うさがあって、そのバランスが作品の見どころだと思います。

―その映画化を熱望し実現した、根岸吉太郎監督とのお仕事はいかがでしたか?

非常に時間をかけて、丁寧に撮影した作品でしたね。命を削るかと思うほどの熱意で取り組むスタッフの方々の姿にしびれました。これこそ映画作りなのだなと。皆さんが監督の背中についていくという感じで、大胆に動いたり喋ったりしても全てすくい取ってくださる環境に感動しました。

―登場人物の印象や魅力をお聞かせください。

泰子というあの時代に生きた強い女性を演じられたのは、とてもいい経験でした。ただ、泰子は面倒くさい人物でもあると思います(笑)。3人全員がどこか面倒くさくて、そんな3人に結ばれている糸みたいなものが感じられて、とても演じがいがありました。

木戸さんが演じた中也はとてもピュアで、その真っ直ぐな人物像に泰子も真っ直ぐ共鳴できました。中也との関係をラブストーリーとして演じられたのは、木戸さんの中也だったからこそです。

岡田さんとはNHK連続テレビ小説『なつぞら』でも兄妹役で共演しましたが、バランス感覚に優れた岡田さんが小林を演じることで、安心感がありました。すごく面倒くさい男性なのに清潔感があって、そこがおもしろいと思いました。

―役作りや演じる上で工夫や苦労された点は?

独特の言い回しが多く、自然に言えたらいい味が出ると思いましたが簡単ではありませんでした。感情の起伏やリズム感もかなり試行錯誤しました。役作りは、準備しすぎず、共演者と対面しながら作っていくことが多いですね。激しい喧嘩のシーンなど、体温が上がっていくようなお芝居が好きです。中也との喧嘩シーンは一日かけて撮ったりもしました。役者同士全力で、遠慮せずぶつかれたことで泰子を柔軟に演じられたと思います。

今の作品とは一味違う、欲望のまま大胆に生きる女と男。演じていてとても楽しかったので多くの方に届くと嬉しいです!


 

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俳優 広瀬すず さん

1998年6月19日生まれ、静岡県出身。12年「Seventeen」の専属モデルとして芸能界デビュー。ドラマ「幽かな彼女」(13)で女優としての活動を開始。主な出演作に、『海街diary』(15)、『バケモノの子』(15)、『ちはやふる』シリーズ(16、18)、『四月は君の嘘』(16)、『怒り』(16)、『三度目の殺人』(17)、『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』(17)、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(18)、NHK連続テレビ小説「なつぞら」(19)、『ラストレター』(20)、『一度死んでみた』(20)、『いのちの停車場』(21)、『流浪の月』(22)、『映画 ネメシス 黄金螺旋の謎』(23)、『水は海に向かって流れる』(23)、『キリエのうた』(23)、Netflixシリーズ「阿修羅のごとく」(25)など。公開待機作に『片思い世界』(25年4月4日公開予定)、『遠い山なみの光』(25年夏公開予定) 、『宝島』(25年9月19日公開予定)などがある。3
ゆきてかへらぬ
2025年2月21日(金)全国ロードショー

出演:広瀬すず 木戸大聖 岡田将生 田中俊介 トータス松本 ほか監督:根岸吉太郎 脚本:田中陽造
製作幹事:木下グループ 制作プロダクション:ギークピクチュアズ/ギークサイト
配給:キノフィルムズ
© 2025「ゆきてかへらぬ」製作委員会

STORY
まだ目の出ない女優、長谷川泰子は、まだ学生だった中原中也と出逢った。20歳の泰子と17歳の中也。どこか虚勢を張るふたりは、互いに惹かれ、一緒に暮らしはじめる。価値観は違う。けれども、相手を尊重できる気っ風のよさが共通していた。

泰子と中也が引っ越した東京の家を、小林秀雄がふいに訪れる。中也の詩人としての才能を誰よりも知る男。そして、中也も評論の達人である小林に一目置かれることを誇りに思っていた。男たちの仲睦まじい様子を目の当たりにして、泰子は複雑な気持ちになる。才気あふれるクリエイターたちにどこか置いてけぼりにされたようなさみしさ。しかし、泰子と出逢ってしまった小林もまた彼女の魅力に気づく。本物を求める評論家は新進女優にも本物を見出した。そうして、複雑でシンプルな関係がはじまる。

重ならないベクトル、刹那のすれ違い。ひとりの女が、ふたりの男に愛されること。それはアーティストたちの青春でもあった。

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