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Biz Life Style KURUME:COVER INTERVIEW

Biz Life Style KURUME:COVER INTERVIEW

2022年2月17日 PR

ビジネスパーソンの仕事と健康を支える睡眠と運動

働き盛りのビジネスパーソンが仕事に打ち込むには、健康的な心と体は切り離せない。近年では、従業員への健康投資によって企業の業績向上につなげる「健康経営」がクローズアップされている。仕事と健康に対する在り方を、『久留米大学』学長の内村直尚氏と『久留米大学病院』病院長の志波直人氏に伺った。※以下敬称省略

 

―現代の日本人が抱える問題点は何でしょうか?
内村 OECDの調査によると、日本人の平均睡眠時間は7時 22分。世界で最も寝ていないのは日本人です。睡眠不足による経済的損失は年間 15兆円とされ、これはGDPの2.9%にあたります。また、睡眠時間は心や体の病気と密接に関係しており、睡眠不足は生活習慣病、認知症、うつ病になりやすいです。

志波 現代は昔よりもオフィスワークが増え、運動不足な人が増えています。筋肉や骨など体を動かす運動器が衰えると、骨粗鬆症や変形性関節症になってしまいます。

 

―どのように改善すべきでしょうか?
内村 思考能力が低下する睡眠不足は、産業事故や交通事故の要因です。「働き方改革」によって時間外労働の上限が80時間に制限されたのは、睡眠時 間を確保する「眠り方改革」という側面があります。

 

―休日に寝溜めするのはどうでしょうか?
内村 平日と休日で起床・就寝の時間が異なると、時差ボケしたようになります。これを「ソーシャル・ジェットラグ」と呼び、体内時計が乱れることでホルモンや自律神経のバランスが崩れるので、毎日一定の時間に起床・就寝することを心がけましょう。

 

―加齢によってどのような変化が起こりますか?
内村 エネルギー消費量が低下するので、睡眠時間は短くなります。睡眠時間は筋肉量とも密接に関係しており、日頃から運動している人の方が深く長く眠れる傾向です。

志波 筋肉や骨は、30歳前後をピークに1年で1%ずつ衰えていきます。特に60代からは下肢の筋肉が衰え進み、足腰が弱くなります。

 

―筋肉を維持するにはどうすればよいでしょうか?
志波 1日8000歩の歩行が推奨です。「筋肉は内分泌器官である」といわれ、運動によって筋肉から「マイオカイン(さまざまなホルモンの総称)」が分泌されます。これが肝臓に届くと、中性脂肪が減って脂肪肝が改善することが分かりました。体力が落ちた肝炎や肝がん患者のリハビリのため、『久留米大学病院』ではその場でできる米大学病院』ではその場でできる運動で、背中、太もも、ふくらはぎを鍛える効果がある「肝炎体操」を考案しました。

 

―大学や病院としての取り組みを教えてください。
内村 久留米市で睡眠の特定健診への導入を念頭に、東京大学発ベンチャー企業「アクセルスターズ」の睡眠測定器を用いて、久留米市の職員やシフト勤務制の「ブリヂストン」久留米工場の社員を対象にした実証実験で、医産学官が共同で睡眠の最先端研究を行っています。

志波 『久留米大学病院』ではNASAやJAXAとの共同研究で、2014年に国際宇宙ステーションで宇宙飛行士の筋肉や骨に関する実験を行いました。また、2015年に「パナソニック」 との産学共同開発で、歩きながら歩行に必要な筋力を鍛えることができる「ひざトレーナー」を製品化。さらに久留米市や日本競輪選手会福岡支部、「パナソニック」と連携し、 久留米競輪所属選手が行う筋力アップなどのトレーニングに2019年から協力しています。

久留米大学病院 病院長 / 志波直人氏

1982年、久留米大学医学部卒業、同整形外科入局。1991年、米国メイヨー医科大学整形外科バイ オメカニクス研究室留学。2004年、久留米大学病 院リハビリテーション部教授。2012年、久留米大 学整形外科学教室主任教授。2016~2017年、久 留米大学病院長。2017~2019年、日本整形外科 学会理事。2018年、久留米大学理事長特別補佐。2020年、久留米大学病院病院長に就任。

久留米大学 学長 / 内村直尚氏

1982年、久留米大学医学部卒業。1986年、久留米大学大学院医学研究科生理系専攻博士課程修了。1987年、米国オレゴン健康科学大学留学。1992年、久留米大学医学部神経精神医学講座講師。2000年、同講座助教授。2007年、同講座教授。2011年、久留米大学病院副病院長。2013年、久留米大学医学部長。2016年、久留米大学副学長。2020年、久留米大学学長に就任。

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