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撮り続けた先にあるもの

撮り続けた先にあるもの

2017年11月23日

今回は、現在発売中の写真集「東京の恋人」や渋谷ヒカリエでの同名個展の開催を12月に控えながら、11月末発売予定の写真集「となりの川上さん」など、幅広くご活躍中のフォトグラファーである笠井爾示(かさい ちかし)氏と、ヒーコ 黒田明臣 による対談をお届けします。
回を重ねるごとにボリュームが大きくなる本連載ですが、秋の夜長が終わる前に是非♪

Index
● 1 撮り続けた先にあるもの
○ 1.1 それぞれのルーツ
○ 1.2 仕事の流儀
○ 1.3 常に写真家であるという事
○ 1.4 写真と出会った原点
○ 1.5 様々な写真家達との出会い
○ 1.6 撮り続ける面白さ、厳しさ。
○ 1.7 常に撮り続けてきたからこそ成り立つ作品
● 2 プロフィール
○ 2.1 笠井爾示
○ 2.2 発売写真集
○ 2.3 東京の恋人
○ 2.4 となりの川上さん
○ 2.5 展示情報
■ 2.5.1 笠井爾示写真展「東京の恋人」 渋谷ヒカリエ 8/CUTE 1,2,3
■ 2.5.1.1 ヒカリエ公式情報
○ 2.6 笠井爾示写真展「東京の恋人」
■ 2.6.1 笠井爾示写真展「Flowers」
■ 2.6.1.1 同時発売
○ 2.7 クレジット
■ 2.7.1 参考

それぞれのルーツ

[黒田]
今日はお時間作っていただいてありがとうございます。この連載は、「写真と生きる」というタイトルでやってまして、笠井さんのように商業第一線でやられているような方から、アマチュアで写真を楽しんでいる方まで、写真を生活の一部としている方々をご紹介しています。
今回は対談という形で、自分のように元々写真と全く関係のない仕事をしていた人間と、笠井さんのように写真一筋で生きてこられた方の違いや考えなんかを浮き彫りにできたらなと思っています。

[笠井]
はい。よろしくおねがいします。黒田君は元々は何をしてたんだっけ?

[黒田]
自分ですか? 今でもそうですが、フリーランスでエンジニアをやってたんです。三ヶ月に一回カメラ出すかくらいの感じで旅行中に写真を撮ったりしていたんですけど、ポートレート専科という展示があったじゃないですか。その存在を知って出展を勧められて、出ることになり。
そこからですね、今こんな風になっているのは。

[笠井]
魚住さん(*)のね。

[黒田]
そうです。ちょうど三年前ですね。オーディションを受けてみたらたまたま展示できることになって、展示してという経緯でした。
そうしたらたぶん共通の知り合いもいらっしゃると思うんですけど。みんな熱中してるというか、写真に対する熱量が自分とは全く違っていてすごく衝撃でした。皆さんずっと写真のことを考えてるし、ずっと写真のことをしゃべってるし、人をここまで熱中させる魅力が写真にはあるのかも。「確かに」と思って、それから人を撮り始めたんです。いわゆる作品撮りというか。で、あれよあれよとやっていたら今に至ります。

[笠井]
写真家になっちゃった。

[黒田]
写真家と言えるのかはわからないですけど(笑)
同じように熱量向けるようになっちゃって、こうして仕事になってしまったという感じですね。
そういえば、これまで色々な写真集など拝見して思ったんですけど、笠井さんの作品って迫る感じがあって色も独特ですよね。ポジっぽいというか。

[笠井]
基本フイルムのころはポジで撮ってたからかな。ネガで撮ったことはないんだよね。ネガプリントとかも一切したことない。
モノクロは自分でプリントしてたけど、カラーでのプリントは一切自分でしたことなくて。僕の作品集も、仕事も、全部ポジで撮ってた。

[黒田]
あ、そうなんですね。当時のことは何も知りませんが、ネガが主流なのかと思ってました。ポジのみってすごいですね、露出とか大変そうな(笑)。それが普通だったのかもしれないですけど。
ポジフィルム / リバーサルフィルムフィルムの種類。ネガフィルムと比較して、露光の範囲が狭いため露光補正の範囲が限られている。撮影時に正確な露出測定が求められる。
Wikipedia ネガフィルム / ポジフィルム

[笠井]
時代的にはもう90年代が圧倒的にネガだったんだよね。だけど元はというとポジのほうが主流だったらしいのよ、昔は。

[黒田]
そうなんですか、80年代とかですか?

[笠井]
そうそう、80年代とか、その前とかね。特にグラビアとかもポジのほうが多かった。

[黒田]
意外ですね?。というか当時の皆さんはやっぱり凄いですね。ポジで仕事とか露出失敗するのが怖くて考えられないです。

[笠井]
その場でね、きちんと露出を決めないといけないからね。アンダーに撮っちゃったらアンダーにしかならないから。

[黒田]
自分の感覚だともう融通きかないなっていう印象なんですよ、そういうのも(笑)

[笠井]
だから露出は神経質に測ってた、当時。常に露出計は使っていたかな。でも今ポジで撮るのは経済的に無理だよね。だってフイルム自体はいくらくらいするのかな?1500円?

[黒田]
35ミリだったら普通にもうちょっと安いのありますね。1000円ちょっとくらいの。ベルビアでしたっけ? プロビアは1500円くらいですよね。

[笠井]
僕はプロビアよく使ってたけどね。

[黒田]
最近の作品もプロビアっぽい感じの色に見えますよ。肌の色とか。

[笠井]
そう、プロビアっぽくしてるんだよ。

[黒田]
あ、そうなんですね。フイルムで撮られてた当時のスタイルがデジタルに移り変わっていったと思うんですけど、色味とかは今の作品にも反映されているんですね。

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