Special Issueビズスタ特集

銀座が「銀座」であり続ける理由

銀座が「銀座」であり続ける理由

2016年9月29日

品質の維持は当然のこと。加えて、「おもてなし」の質で勝負する。それが、現在の銀座の姿だと思う。

競い合うように再開発を展開し、さらに洗練されていく東京都心部。各エリアそれぞれが抜きつ抜かれつするような中で、世の趨勢を超越するように頂点にあり続けるのが、銀座だ。
だが、横綱も、ただ安閑としているわけではない。銀座でも、少しずつ変化が見られるという。そこで今月は、明治12年創業「天賞堂」の新本桂司社長に、周囲の風景を改めて眺めてもらった。

 

| 銀座で創業し、今年で137周年を迎える天賞堂ですが、現在の銀座についてはどんな印象をお持ちでしょうか。

ご存じの通り、老舗店が暖簾を守る一方で最新の店舗が次々とオープンしてきたのが銀座の歴史ですが、過去を振り返っても最近の動きは少し新鮮なように思いますね。

| 昔と比べ変わってきているということですか?

ええ、これまでとは少し異なる客層を見かけるんです。たとえば、若い方々が楽しそうに闊歩しておられる姿を、よく目にします。ファストファッションなどのお店が出店するようになったおかげでしょうね。
私の学生時代は、本物の上質を知る層が集まって、何もかもが高級な街という印象で、敷居が高く感じられたものです。個人的にも、当時はそれほど銀座に来ませんでしたし(笑)。

| 若い層が気軽に歩ける街になっても、銀座というステイタスは損なわれていませんよね。何が理由なのでしょうか。

ご存じの通り、現代は、同じ商品でも低価格で買えるお店や、オンラインショッピングでより気軽に買えるサイトも増えています。そんな時代に、あえて銀座に来られるという方は、陳列や接客などにも「上質」を求めておられるのだと思います。いわゆる富裕層のお客様も非常に多いので、本物の「おもてなし」が問われているような気がします。
天賞堂は、時計や宝飾品、模型、法人向けのノベルティなど、さまざまな商品を扱っています。鉄道模型においてはメーカーとして存在し、本物の鉄道の音を録音して商品に組み込むなど、常に工夫を凝らしています。
日本はモノづくりが有名ですので、品質に求められるハードルも高いですが、銀座では店頭の品質も問われます。他のお店も同じような想いで取り組んでおられるようですので、「本物が集まる街」という側面はむしろ高まっているでしょうね。

| 街として何か特別な取り組みもあるのでしょうか。

銀座には、「銀実会」というものがあります。ひと言で簡単に言ってしまえば、「銀座をいっそう良くするための会」ですね。店舗やビルを構える経営者や居住者で構成されているのですが、私は現在理事長を務めさせていただいております。

銀座では、「ゆかたで銀ぶら」など、年に4回ほど大きなイベントがありますが、「銀実会」ではこれらの企画・運営を任されたり、パレードなどのお手伝いも行っています。
銀座では、店舗を構えていても「商売敵」という間柄ではないんですね。全員が銀座を愛している。そんな人たちが集まっていますから、同じ目標に向かって動く空気があるんです。そんな背景があるからこそ、時代が変わっても「銀座は常に銀座」でいられる理由だと思います。

| 最後に、今後、銀座で注目すべき点はありますか?

2020年に向けて、銀座として何をすべきか考えています。まだ具体的にはお話できない段階なのですが、きっと良いニュースをお届けできますので、ぜひご注目いただきたいですね。

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 新本 桂司 (にいもと けいじ) さん
1976年、東京都出身。大学卒業後、美術関係の仕事を経て、2006年に天賞堂に入社。
専務取締役を経て、2014年10月に代表取締役社長就任。
2016年4月から、銀座の老舗の跡継ぎなどで結成した「銀実会」の理事長も務める。
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