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「檜舞台」が銀座に誕生、観世流からのメッセージ

「檜舞台」が銀座に誕生、観世流からのメッセージ

2017年3月30日

日本の「檜舞台」が、銀座に戻ってくる。

室町時代、観阿弥・世阿弥によって大成され、約700年の歴史を持つ能楽。国の重要無形文化財に、またユネスコ無形文化遺産にも登録されている、日本が世界に誇る舞台芸術だ。

来月、観世流の本拠地である「観世能楽堂」が、銀座6丁目「GINZA SIX」内へ移転する。そこで、二十六世観世宗家・観世清和氏に、新能楽堂についてお聞きした。

 | 古典芸能は難しいというイメージをお持ちの方も少なくありませんが、特に能はそう言われますね。

狂言と比べて静かな演目が多いのですから、まったく眠くならないとは申せませんが(笑)、決して難解というわけではございません。

長い年月の間に練り上げられた詞章、音楽や舞で構成された能は文学的にも美術的にもすぐれ、人間のドラマが描かれています。生き生きとした舞台に、きっと驚かれると思います。

また、能楽堂に来ると気分が落ち着いて、自然に呼吸が深くなるのが心地よいと仰る方も多く、ぜひ多くの皆さまにご覧いただきたいのです。

| 古典芸能と銀座の最先端複合施設「GINZA SIX」とは、何とも面白い取り合わせですね。

二十五世観世左近記念 観世能楽堂(GINZA SIX内)※ 平成29年4月20日(木) 移転開場

江戸時代、私の祖先である観世大夫は幕府から銀座に屋敷を拝領し、住まいとお蔵、それに舞台を構えておりました。かつて観世通りと呼ばれておりましたのが、現在の銀座一丁目付近にあたります。一昨年まで渋谷区松濤に観世能楽堂がございましたので、このたびの移転は祖先にゆかりの銀座に戻ることになります。

能楽は古典芸能ですが、どんな時代でも皆さまに親しまれてきました。その背景には、時代との融和も大切に考えてきた歴史があるのです。

| 能楽堂には屋根がありますが、考えてみれば不思議な構造ですね。

能舞台はもともとは野外にありました。近世になり、屋内に入ったので、屋根はその名残ということになります。そして四本の柱が舞台の上にあります。極端に視野が狭くなる面をかける演者にとって、柱は重要な目印の役割を果たすのです。

ただ、この観世能楽堂は、その目付柱を取り外すことが可能となっております。能楽の公演だけではなく、アートやカルチャーなどの文化催事をはじめ、さまざまな分野の催しを開催できる多目的ホールとして活用できるように工夫いたしました。

 | 今後はどのような公演が予定されているのでしょうか。

通常の公演の他に、お勤め帰りの方々にお気軽にご来場いただけるよう、4月24日(月)に従来の公演よりも遅い19時半開演の若手特別公演を開催いたします。日常の喧騒から切り離された空間で、少しでも仕事のお疲れを癒していただければ嬉しく思います。

銀座は歌舞伎座や新橋演舞場、それに有楽町の劇場やミュージカルなどたくさんの舞台芸術が集まるエリアですから、質の高い舞台をご披露すべく、私たちも日々の稽古を怠らず、伝統文化の神髄をここ銀座の檜舞台から、世界に向けてお届けしたいと思っております。


■観世能楽堂 開場記念ACT4特別公演

平成29年4月25日(火)18:30開演
チケット問い合わせ/TEL.03-5414-2212
チケット料金/S席13,000円 残席僅少
能「葵上」観世清和、狂言「棒縛」野村萬斎、半能「石橋」観世芳伸、清水義也

 

■ 観世能楽堂開場記念若手特別公演

平成29年4月24日(月)19:30開演
チケット問い合わせ/TEL.03-5778-4380
チケット料金/ S席 13,000円、A席 10,000円、
         B席 7,000円
出演者/能「乱」坂口貴信、林宗一郎、狂言「蝸牛」深田博治、仕舞「高砂」観世三郎太、半能「石橋」上田公威、坂井音雅、武田宗典、関根祥丸

 


観世 清和 さん

二十六世観世宗家。1959年東京生まれ。室町時代の能の大成者、観阿弥、世阿弥の嫡流。好評を得た昨年のNY公演など、国内外多くの公演に出演するだけでなく、復曲や新作能に取り組む能楽界の中心的な存在。重要無形文化財総合指定保持者。芸術選奨文部大臣新人賞、同文部科学大臣賞、伝統文化ポーラ賞大賞、フランス芸術文化勲章(シュバリエ)、紫綬褒章など受賞(章)多数。

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