Special Issueビズスタ特集

東京公演を経て、より凝縮された『オグリ』が博多座に上陸する

東京公演を経て、より凝縮された『オグリ』が博多座に上陸する

2020年1月30日 PR

市川猿翁(当時・三代目市川猿之助)が「時代とともに生きる歌舞伎」を創りたいという思いで生まれた「スーパー歌舞伎」。四代目市川猿之助がその精神を引き継ぎ、さらなる進化を目指す「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)」の、第三作として完成した『新版 オグリ』。主人公の小栗判官(オグリ)を、市川猿之助と中村隼人が交互出演で勤める話題作だ。作品の見どころや博多座公演への思いを、2人に語ってもらった。

― 博多座公演と東京公演の違いはありますか?

市川猿之助氏(以下 猿之助) 東京で2ヶ月上演してみて、カットするところやボリュームを増やした方がいい場面などが見えてきました。より凝縮した内容で博多座に行きます。

― 物語は、主人公の小栗判官を中心に、心のままに生きる若者たちの苦悩や葛藤、そして成長を描いています。ストーリーについて、どのような印象ですか?

中村隼人氏(以下 隼人)26歳の僕も演じるということで、同世代として、共感できる部分はたくさんあります。ひと昔前だと、自分たちのやりたいことを貫くような集団は周囲から浮いていましたが、今の時代は我が道を行く若者が多く、今回のストーリーは自分の中にすんなりと入ってきましたね。

― それぞれから見たオグリの印象を教えてください。

猿之助 彼(隼人)には若さという華があります。等身大のオグリのような若々しさがあり、そこが役の魅力と重なって、見て
いて清々しいですね。隼人 (猿之助さんは)リーダーシップが取れる人。または、考え方が違う人の気持ちも動かすような、そういったところが強く出ていると思います。

― 猿之助さんは演出もされますが、挑戦したことや苦労したことはありますか?

猿之助 平成3年当時は技術的に不可能だった巨大な映像を使った演出が、今回実現できました。ただ、次々と場面転換をしていくのですが、あまりやりすぎると歌舞伎らしい舞台セットが必要なくなるので、どこまで、ハイテクとローテクを扱うかのバランスは考えましたね。

― 舞台上の鏡で役者を全身見ることができる演出も特徴的です。

隼人 もともと、役者は後ろを向いた時に背中でその役を表現しなければいけないと言われてきました。普段から気をつけていますが、今回は本当に全て映っているので(笑)。初めての経験ですが、猿之助兄さんが仰った「鏡があることで空間が埋まる。でも広い空間であることには変わりないから、芝居でそれを埋めないといけない」という言葉を意識して演じています。

― これからオグリを観る人にどんな気持ちで観劇してもらいたいですか?

猿之助 予備知識なく観ても楽しんでもらえますが、今作は「幸せとは何か?」を問いかけている作品にもなっています。
みなさんも幸せについて考えながら観ていただきたいです。

―博多座では、2016年4月の『ワンピース』以来のスーパー歌舞伎Ⅱです。

猿之助 あのときは公演期間中に熊本地震があった月で、被災された方が大変な思いをされている中、公演を続けていいものかと悩んだのですが、多くのお客様にお越しいただき、逆に僕らが勇気をいただきました。その博多座でこの作品を上演できることをうれしく思います。
隼人 私も同じ気持ちです。また、私の母は鹿児島出身で私の名前も〝隼人〞。九州には特別な思いがありますので、ぜひたくさんの方に観ていただきたいですね。

歌舞伎俳優
四代目 市川猿之助氏[ いちかわ えんのすけ ]
東京都出身。市川段四郎の長男。伯父は市川猿翁。1983年歌舞伎座で『御目見得太功記』の禿たよりで二代目市川亀治郎を名乗り初舞台。古典を継承する力と新作を創造する力を併せ持ち、伯父の意思を引き継いで、スーパー歌舞伎Ⅱ第一作『空ヲ刻ム者』、第二作『ワンピース』を上演。映画やテレビドラマなどにも多数出演。

歌舞伎俳優
初代 中村隼人氏[ なかむら はやと ]
東京都出身。中村錦之助の長男。2002年歌舞伎座『菅原伝授手習鑑 寺小屋』の松王丸一子小太
郎で初代中村隼人を名乗り初舞台。スーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』や新作歌舞伎『NARUTO-ナ
ルト-』にも出演。2020年夏のスーパー歌舞伎Ⅱ『ヤマトタケル』でも市川猿之助との交互出演を
予定するなど、次代を担う花形俳優として活躍。

PAGE TOP

最近見た記事

  • 最近見た記事はありません。